修士論文/卒業論文を書く心構え

卒業論文や修士論文を書くための心構えをまとめました(PDF版)。随時更新。


1. まず、卒論(修論)のファイルを作る

    • 「卒業論文名前.docx」とか「sotsuron name.tex」のようなファイルを作る。とりあえず中身はなくてもよい。ファイルを作って、しかるべきフォルダーに置くことが大事。これでスタートを切ったことになる。この作業によって得られる精神的優位性は意外に大きい(もちろん、これで安心して良いわけではない)。
    • 少なくとも、この段階で、表紙の部分に自分の名前は書けるだろう。所属情報も書ける。論文の仮のタイトルを入力できればなお良い(大抵の場合、まだ修正できるであろう)。この作業は、絶対にスキップできない作業であって、これなくして完成はない。着手した意義は大きい。
    • 同じことは発表会のプレゼンファイルにも当てはまる。表紙だけでも作ってみる。
    • 「やる気が出てから仕事を始める」のではなくて、「仕事を始めてみたらやる気が出てくる」効能は想像以上に絶大である。


2 道具を揃えておく

    • 研究論文を書くのに、次のツールを使いこなせるレベルになっておくことは重要である。
      • ドローソフト(Powerpoint, Inkscape など) 
      • グラフ作成ソフト(QtiPlot など)
      • ワープロ(Word や TeX など)
      • プレゼンソフト(Powerpoint など)
    • 研究をするには、計測ソフトや、シミュレータ、数値計算環境などが必要かもしれない。研究テーマに依存するので触れないが、上に挙げた4つは必須。使いこなせると論文執筆のスピード(とクォリティ)が桁違いに上がる。ただし、使いこなせるようになるのには(予想外に)時間がかかる。
    • グラフもイラストも文章も、書かないと上達しない。上達のコツは、上手い人の真似をすることだ。絵が上手い人は研究のセンスも良く、逆に研究のセンスが良い人は絵やグラフをまとめる能力も高いようである。


3. 書けるところから書く

    • 卒論や修論となると、50 ページとか100 ページの長編の書き物を書くわけだが、一気に書くのは無理がある。また、第1章から順番に書いていくのにこだわる理由は何もない。書けるところから、ちょっとずつでも書いていく。
    • 思いついたアイディアは、頭にあるうちに文字にする。アイディアが消えるのは想定以上に早いのだ。そして、文章を直す作業は時間があれば何とかなる。でも、無の状態から文章を発想するのは時間があれば良いものではない。締め切りがせまり焦ると文章は出てこないものだ。書けるところから書く。


4. 論文のタイトルの付け方

    • 自分の研究を語る上で必要なキーワード(単語)を紙に書き出してみる。次に少し範囲を広げて、あった方が良いかな?という補助的なキーワードを考えて書く。その次に、これがあると題目の納まりがよくなるかな、というさらに補助的なキーワードを考えて、同じように書き出す。順不同でよい。
    • 書いたキーワードを眺めて、この単語は絶対に入れたい、というキーワードを丸で囲んでみる。
    • 丸で囲んだキーワードをつなげてタイトルを作ってみる。
    • 「論文のタイトルは、その論文の一番短い概要である」は鉄則。そのタイトルで自分の研究が的確に表現できているだろうか?採用していなかったキーワードを入れたり、抜いたり、語順を入れ替えたりしてみる。
    • いくつか探っているうちに、自分の心に響くものが出てくるだろう。名前をつけるというのは、そういうもので、良いタイトルは自分の心にスッと入ってくる。
    • 仮タイトルを書き出して、一晩寝かせて、明くる日にもう一度眺めてみる、というのもお勧めの方法だ。
    • タイトルのキーワードに困ったら、上位概念を考えてみるのも良い。例えば、「トランジスタ」の上位概念は「電子デバイス」や「エレクトロニクス」のようになるだろう。上位概念を考えると、研究の応用先を広げたり、インパクトを強めたり、(言葉遊びではなくて)陳腐化や狭視野的な感じをなくす上で役立つ(でもやりすぎると漠然としてしまう。バランスは大事)


5. 章のタイトルの付け方

    • 「章のタイトル」=「本のタイトル」と考える。章のタイトルを見ただけで内容が想像できるようにする。
    • 章が集まって1つの論文になる。それぞれの章のタイトルが1冊の本のタイトルである。例えば5章構成の論文なら、5冊の本が1セットになっている様子を想像してみて欲しい。
    • 各章のタイトルもまた、その章の内容を端的に示すようにつける。しかし、「第3章試料の作製」というタイトルでは、何の試料を作ったのか、まったく伝わらない。せめて何を作ったのかは書くべきだし、作ること自体に研究要素があるなら(あるべきだが)、それを表す言葉を入れてみる。例えば「第3章○○○法を用いた△△△構造の作製」とか、「第3章△△△構造形成のための○○○法の検討と●●●試料の作製」のようになると、単に「試料の作製」としたのとは説得力に雲泥の差がある。
    • 蛇足だが、第1章のタイトルが序論や、終章が結論、総括のような題目になるのは上の限りではない例外。
    • 5冊の本(章) のタイトルを総括したものが論文のタイトルになっていると、しっかりした構成感が出てくる。(タイトルに入っているキーワードは、いずれかの章のタイトルに含まれているべきだ。論文のタイトルにあるけれど、どの章のタイトルにも顔をださないキーワードがあるのはおかしい)


6. 論文の大枠を書き留める

    • 論文を描き始める前に、目次(のようなもの)を作る。箇条書きでまとめておくと、論文を考える地図になる。
    • (やみくもに) 論文を書くと、試料の作り方の章を書いておきながら、後半の方に出てくる試料の作り方をもう一度書いてしまった、ということが起こり得る。後半では特殊なことをした(改良プロセスを提案したなど)ことを書く重要な意義があるなら、試料の作り方を後半でも書くことはあってもよいだろう。でも、作り方として一般的な話であれば、それが何度も出てくるのはページの水増しをしているように見えてしまう。
    • こういう混乱をなくすために、最初にアウトラインを箇条書きしておくとよい。「試料の作り方はどこで書くのだっただろうか?」と迷ったら、箇条書きメモを見る。書けたところをチェックしていくと、仕事の進行状況も分かるし、書き漏れもなくなる。
    • 1つの章は独立した1冊の本に相当するので、章単独でも成立はする(参考文献をそれぞれの章末に書くのはその考え方からだろう)。論文全体として主張をはっきりさせるには、章の並べ方には意味が出てくる。
    • ここで注意したいのは、論文は報告書ではなく、仕事をした時系列にそって並べる必要はない、ということだ。例えば、基礎データを研究の最後に取ったとしても、応用的な結果の後に基礎データが出てくるのはやはりおかしい。自分の主張がクリアーに表されることこそが重要。時には大胆に順番を入れ替えることも考える。


7. 第1章の序論の書き方

    • 基本は、広い視野から始まって、徐々に話題を絞っていき、最終的に自分の仕事にフォーカスする。
    • 例えば、(世の中こんなことが重要だ)→(この課題解決にむけた提案がある。例えばA とかB とかCとか)→(この中でA という手法は有望視されているが、△△△という課題がある)→(一方、〇〇〇という技術が提案されている。この手法はA の課題解決の可能性がある)→(この課題を解決するためには、以下の検討が必要である。(列挙))→(本研究の目的は…)
    • 自分の研究の目的を論理的に誘導していく。研究の目的をクリアーに示すことが第1章の最大のミッションである。(背景の紹介が主役ではない!)
    • ここに至るまでに参考文献をたくさん調べておくと、説得力が増す。


8. 第2章は何のため?

    • 序論に続く第2章は、研究を進めるのに用いた装置や背景技術を書くことが多い。第2章の扱いはいろいろな考え方があるが、コンセプトはこうだろう。
      • 論文が網羅する情報は、この論文があれば、第三者が全てのデータや結果が再現できるように執筆するのが原則である。使った装置の型番などを記すのはこのためでもある。
      • 装置や評価方法などの原理を書くのは、必ずしも同型の装置がなかったとしても、(その研究を再現する上で)本質的に重要な点が論じられている事に意義がある。装置の説明書を自分の論文に丸写しするのはナンセンスである(というか剽窃になってしまう)。説明書は使い方を書いたものであって、「その」データを再現する手順や留意事項を表すものではない。
      • 何を書くか困ったら、こう考えてみて欲しい。もし自分がその論文を読んで追実験する立場だったら、どんな情報が欲しいだろうか。
        • 装置は何を使ったか?
        • どんな原理で動いていて、その限界は何か?
        • 一般的な使い方ではなく、特に注意した点は何か?評価方法であれば、どのような方法で結果の妥当性を検証したり、再現性を確認したのか?
        • 一般的でない特殊な使い方や、独自の使い方をしているのなら、それは何か?
    • こういったことを調べたり書いたりしていけば、単に先輩の修論のコピペでは終わらないはずだ。例え一般的な光学顕微鏡を使った場合でも、その研究を再現する上で重要であれば、光学顕微鏡について堂々と節を設けて記すべきである。(逆に、一般的な使い方しかしていないなら書く必要はない)。寸法測定が重要で、その測定精度をどのようにして担保したのかが書いてある論文は、筆者がそういう点に注意して研究をすすめた証左でもある。
    • 装置や原理の図は自分で書く。コピペは意味がなく、著作権侵害でもある。


9. まずは絵を描く

    • 各論の文章を書き始める前に、試料構造、測定に用いた評価系、結果のグラフ、考察のグラフなどの絵を用意する。描いた絵を見ながら、絵を説明する文章を書く。逆にしてはいけない。
    •  何故こうなるかと言うと、人間は頭で絵(イメージ)を思い描きながら文章を推考するからだ。よほどトレーニングを積まないと、文章を書きながら頭の中に思い浮かべたイメージを固定化することはできない。固定化されていないイメージをドローソフトなどで絵に描いていると、(ドローソフトに慣れていないと特に)描きながらどんどんイメージが変化してしまって、初期のコンセプトからズレた絵になってしまうことがある。そうなると文章も書き直しになって二度手間だ。それなら、最初に絵を描いてイメージを形にして、それを説明する文章を考える方が合理的。
    • 絵を最初に書くことのメリットはもう1つある。絵というパーツが揃うと、プレゼン資料がおおよそ出来上がる。あとはパーツをつなぐコメントや説明書きを入れて、組み立てていく。最初に示す研究背景の執筆は実験結果のデータの説明とは別の苦労がいるが、そこも絵(イラスト)があるとラクに取り掛かれる。
    • PC で作業をする前に、紙とペンで手書きでラフスケッチを作っておくのはお勧めの方法だ(私もしばしばやっている)。イメージやアイディアを覚えておく必要がなくなるので、頭が劇的に軽くなる。PCの作業を「清書」に集中できる。
    • 実験結果のグラフを書いたら文章を添えていく。基本は以下のようになるだろう。

      1.  当たり前の説明を書く。このグラフは何をプロットしたものなのか。試料は何か。測定の条件(例えば、温度を変えているなら温度。室温であることが重要なら室温であることを書く、など)。
      2. そして、理論通りあるいは予想通りになっていることを書く。「見れば分かるだろう」ということも敢えて書いてくれると、読んでいる人は安心して読める。(グラフの傾向が読み手の予想通りであることが確認できるということは、書き手と読み手が共通認識を持てるということだ)。
      3. 次に、理論通りでないところ、予想と違っていることを書く。
        • 仮に物理的に意味がない現象が見えていたなら、それを補足説明する。ばらつきは測定限界に起因するとか、電極面積の不均一性に由来するなどが明確に分かっているなら、それを書く。(でも、考察なしに雑音のせいだ、としてしまうのは思考停止=手抜きであり、きちんと追求すべき。分からなければ分からないと記すほうがむしろ正しい)。そうした説明がないと、読み手は、「何故、特異な振る舞いが出ているのだろう?」と悩むことになる。
        • 逆に、予想と違っているデータ点に物理的に意味がありそう、あるいは仮説がたてられそうなら、じっくりと考察をする。ここにこそ論文の価値がある。違っている点だけ抜き出してみたり、縦軸、横軸を変えたりして新しいグラフを作ってみる。大概の自然現象にまぐれはなく(必然)、必ず理屈がある。気まぐれや単なる偶然のようでも、その結果が現れる理由(条件)があるはずだ。系統的に変化したり、理論とずれるなら、それは考える価値があるはず。


10. 参考文献

    • 参考文献がたくさんあると立派な論文に見える、というだけではない。幅広くちゃんと調べた、という証左だ。逆に、参考文献がない(少ない)論文は貧弱に見える。研究室の先輩の修士論文ばっかり挙げているのは我田引水というものだ。
    • 参考文献は、先人に対するリスペクトでもある。
    • リスペクトだけではない。たとえば物質の比誘電率(εs) を計算に使う時に、google 検索をかけて出てきた値をそのまま書く、というのは以下のような理由でNG だ。
      • その値は信用できるのか?複数の目でチェックされている値を使うべきである。ネットにある情報を鵜呑みにしてはいけない。
      • 数値の信用には、どのような方法で数値を得たのかが関わることがある。比誘電率の測定の例で言うと、電気的に測定する方法と、光学的に測定する方法がある。両者は必ずしも一致しない(光の波長によっても変わる)。さて、その値は自分の実験結果の解析にふさわしいだろうか?参考文献に挙げないということは、後々にこうした追求を面倒にする。
      • 値(データ)は遡れなければいけない。自分の中でも日によって比誘電率がコロコロ変わる、というのは正しい態度ではない(気まぐれ自己矛盾)。「誰それが何年に報告した値だ」と確信して使うのは重要なのだ。これは後輩のためでもある。先輩が出典を残さず、値だけを教えてくれたとしたらどうだろう。その値に疑義が出た時に、出典に辿り着けないのは困る。どの論文に書かれた値なのかを含めて後世に残すのは重要だ。
    • 参考文献の書き方は統一する。これも博士論文を参考にすると良い。参考文献リストの書きかた不統一はNG。(掲載論文紙の名前をフルスペルで書くのと、省略形が混在するなど。どちらかにする。ページもpp.123-130 のようにするか、最初のページだけp.123 とするかも統一する。応用物理学会の学会誌の投稿規定は参考になるだろう(https://www.jsap.or.jp/ap/authors/yoko.html)。もっと詳しいものはJapanese Journal of Applied Physics のInstruction などだ。
    • 魂は細部に宿る。他人は意外にこういう細かいところを見ている。いい加減な箇所が0.1% でもあると、(不本意ながら)その論文全体の価値が大きく下がる。


11. 論文執筆のお手本は?

    • 世の中に論文の書き方について語っている本はたくさんある。たくさんあるということは、それだけ色々な種類(ややり方)があるということだ(そういえば、このメモ書きもその1つだ)。きっと、どの本も参考になるだろうし、書く元気を与えてくれるだろう。気分転換にそういう本を図書館に探しにいくのもよいだろう。
    • ただし、分野が変わると、論文の書き方の流儀や考え方が異なることはしばしばある。一番、あてになって参考になるのは、研究室の先輩たちが残してくれた博士論文だろう。完成度という点で、卒論、修論は残念ながら「習作」である。博士論文は国会図書館に修蔵され、後世まで残るものだ。博士論文を書いている人も後世に汚点を残さないように気概を込めて書いている(筈だ)。また、論文の書き方の一般的な指南書では触れられない、自分の分野で言いたいことを表している文章表現や言葉遣いなど、書き方のお手本としても有用だろう。


12. 効果的に仕事を進めるために

    • 謝辞を書くのは楽しい作業でもあって気分転換になる。そして、意外によく見られているのが謝辞でもある。名前や職位の間違い、抜けなど失礼のないように。
    •  論文を描いていると、執筆活動が停滞してきたな、と感じることがある。気晴らしに散歩するのもよい。どうにも進まなくなったら、適当なところでプリントアウトして、赤ペンで自己添削をするのは効果的である。プリントアウトを他人に読んでもらって、コメントをもらうのも良い。画面では斜め読みしにくい(全体像を掴みにくい)が、プリントアウトは斜め読も 出来るので、他人から「本気」のコメントをもらいやすい。
    • パソコンの前に座っている時間=執筆の時間かと言うと、そんなことはない。パソコンの前にいる時間はタイピングしている時間であって、クリエイティブな時間とは限らない。ひょっとしたらパソコンの前にいる時間は、単なる作業時間かもしれない。
    •  書くことのアイディアを思いついたり、考察の新しい視点を思いつくのは、机から離れて家に帰る途中や、風呂に入った時、掃除をしている時、などなど頭が研究とは違うフェーズにあることが多い。
    • 仕事(執筆)を早くにスタートするメリットは、そういうスキマ時間を使うチャンスができることだ。
    • 一瞬のスキマ時間に思いついたアイディアが、文章量10 ページ分に匹敵することもある。ひらめきとはそういうものだ。逆に丸一日パソコンの前にいても、良いアイディアを思い浮かぶとは限らない。オンの時間にしかできないことと、オフの時間にしかできないことをうまく組み合わせるのは、仕事を効果的に進める秘訣の1つだ。仕事の時間が日中の7 時間であったとしても、人間は24 時間生きているのだ。


13. リテラシー

    • 数値データの表記の仕方は学術分野(学会)によって異なるが、応用物理学会、電子情報通信学会では以下の書き方である。
      1. 数値には標準単位をつける。適切な単位のない物理量は意味を成さない。
        • (○良い例)最上層のn-Si層の不純物濃度を5×1017 cm−3 とし、膜厚を200 µm とした。
        • (×悪い例)最上層のn-Si層の不純物濃度を5×1017 とし、膜厚を200とした。
      2. 単位は立体にする。斜体にしない。
        • (○良い例)200 µm、5 × 1017 cm−3
        • (×悪い例) 200 µm、5 × 1017 cm−3
      3. 変数は斜体(イタリック)を使う。
        • (○良い例)SR2
        • (×悪い例)S=πR2
      4. 数値と単位の間には空白を入れて分離させる。単位も1 つの単語である。単位をカッコで括る必要はない(応用物理学会の習慣。[ ]に入れるのは他学会の習慣か)

        • (○良い例)200 nm
        • (×悪い例)200nm
      5. 変数の単位を強調して示したい時は、カッコに入れる。(こういうケースは稀れかもしれない)斜体、立体の使い分けに気をつける。
        • E (J), E (eV), n (cm−2) など。
    • 本としての体裁。
      • 各ページのページ番号は本文からスタートする。目次のページはp.1 とせず、i、ii、. . . のようにローマ数字で独立にページ番号をつけ、第1章から1、2、. . . のようにアラビア数字でページ番号をつけることが多い。
      • 章の始まりは奇数ページからスタートする。章が奇数ページで終わる場合は、最終ページ(偶数ページ)に白いページを追加し、次の章が奇数ページスタートになるようにする。
      • 総体として以下のような体裁になるだろう。以下で[-] はページ番号(ノンブル)無しを意味する。

ノンブルの表記 内容
表紙(修士論文、卒業論文の規定の書き方に従う)
(白紙)
概要(和文)
概要(英文)
i 目次1 ページ目
ii 目次2ページ目
iii 目次3ページ目
iv 目次4ページ目(4ページ目に目次が掛からない場合は白紙にしてノンブルのivも不要。第1章の最初のページが見開きの右側から始まるようにする)
1 第1章の1ページ目(必ず見開きの右側のページから始まる)
2 第1章の2ページ目
2n+1 第1章の奇数ページ
2n+2 第1章の偶数ページ(前のページで終わる場合は白紙にして第2章を奇数ページス
タートにする)
2n+3 第2章の1ページ目
2n+4 第2章の2ページ目

    • 化学式は立体で書く。斜体にしない。
      • (○良い例)NaCl
      • (×悪い例)NaCl
    • 主張点(言いたいこと)が変わったら、段落(パラグラフ)を改める。初学者が書いた例では、実験結果、グラフの説明、考察が一つの段落になっている場合がある。読みにくい。

    • 「Figure」、「Table」あれこれ。
      • FigureもTableも単語なので、続けて番号を書くときには空白が必要である。「Table2.3」や「Table2-3」ではなく、「Table 2.3」、「Table 2-3」である。Figure も同様。
      • 「Figure」を省略形で「Fig.」とすることがある。省略形であることを示すピリオドが必要で、「Fig.2.3」であって「Fig 2.3」ではない。
      • 「Table」には省略形はないので、「Tab.」としてはいけない。
      • 英語論文では、「Figure」が文頭にくるときは省略形にしない。
        • (○良い例)Figure 1 shows the temperature dependence of the sample resistivity.
        • (×悪い例) Fig. 1 shows the temperature dependence of the sample resistivity.

          日本語論文では文頭であっても統一的に「Fig.」を使うことが多いようである。本来は「図2.3」や、「表2.3」のように漢字で書くのが無難。しかし、論文の国際化に伴って、図表のキャプションを英語で書くようになってきているので、英語で書いたキャプションの「Fig. 2.3」を参照するのに「図2.3」はおかしいので、日本語の論文では(記号的な意味で)「Fig. 2.3」としているように思われる。

          研究室の流儀として、日本語で書く修士論文、卒業論文では統一して「Fig.」を使うことにする。

      • 本文で図番号を示したところよりも下の行に図を配置する。図が先に配置されないようにする。例えば本文中で、「試料の抵抗値の温度依存性を調べたものをFig. 2.3 に示す。」という文章の後ろにFig. 2.3 が登場するようにレイアウトする。読者は本文中で初出の図は、後ろの方を探すことになる。

        専門用語の省略形は必ずフルスペルと省略形を示す。例えば、「chemical vapor deposition (CVD)」のように書く。やや問題になるのは、日本語の正式名称を書いても省略形の意味が分からない場合であり、「化学気相堆積法(CVD)」は読者に不親切かもしれない。

      • 学会によって流儀が分かれるところだが、研究室では、「絶縁膜の堆積には化学気相堆積法(chemical vapor deposition: CVD) を用いた。」のように「正式名(英語フルスペル: 省略形)」の形式を標準にする。
      • 単語の先頭を大文字化するキャピタリゼーション(capitalization) は英語では本来は不要。ドイツ語と違い、英語では文中の名詞のキャピタリゼーションは、個人名でなければ不要である。文章としては SiN film was deposited by chemical vapor deposition. であって、SiN film was deposited by Chemical Vapor Deposition. ではない。